福田 真知「(self)portraitのためのエチュード」

「Nameless landscape」の時に知り合いになった関西周辺で作品を発表している作家さんの展示。

どの作品も、写真を写す行為が起点になっており、額装されたプリントという形態をとっているものがほとんどですが、透明度を上げた連続する画像を積層したり、被撮影者の瞳の中に映る自分の姿をクローズアップしたりと、印刷された平面を観るというよりは「被撮影者ーカメラー私」の間にある空間や時間を表現した彫刻です。
「(self)portraitのためのエチュード」と、括弧づけされているように、他者を撮る行為によって自分の像をつくっているということが、ストレートに伝わってきます。
入り口がわかりやすい。

マルティン・ブーバーの「我と汝」を思い出す。
我は単独では存在できず、我と汝が対話する時、そこに初めて我が現れる・・・とかそんな話じゃなかったか。
違ってるかも。
ビジュアルは穏やかだけど、多分そんな意志を作品からは感じました。


クローバーの生い茂る何の変哲もない草むらを写した写真を白黒コピーで印刷して、緑色の油性(水性だとトナーが溶けちゃうのかな?)ペンで塗りつぶす《time, this time》というシリーズの作品が一番印象的でした。
写真をボールペンで塗りつぶすことで圧がかかった紙がじわじわと凹んでいき、立ち上がるコピー用紙の余白。
よい。
唯一、この作品は額装されずガラステーブルの上に置かれていました。
成安造形大学で学ばれていたのが彫刻だということも頷けます。

図像部分そのものも着色カラー写真のような効果が出ています。
街の風俗が写っているわけでもなく、ただ雑草が写っているその写真はもしかすると明治期に撮られた写真かもしれない・・・という妄想までさせて、とても好きな作品でした。


ちょうどお客さんが多く来ていた時間帯だったようで、会場一番奥のスペースに展示されていた《jewel》という作品は観ることが叶わず。
入り口近くのベンチでエルダーフラワーのジュースを飲んで涼みました。
ハーブを煮詰めたシロップだそうです。
ちょっとだけ作品を飲んでるみたいでした。

会期:2019.07.30(火)〜08.24(土)
略歴・展示概要等:
salon cojica


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