加藤巧・鈴木雅明・鈴木悠哉・山本雄基「Grafting 接ぎ木」

ペインティング〜ドローイング系作家4人の展示。
出展作家の一人である鈴木雅明さんが、個人的に絵画を制作する中で感じていた課題に呼応しそうな作品を作る作家として個別に声をかけて実現したものだそうです。
それで札幌出身の鈴木悠哉さんと山本雄基さんが俎上にのってきてしまうのが、なんか面白い。


育児期間中でチューブ絵の具というインスタントな画材ですら扱いが難しくなっている自分にとっては、フレスコ技法のような本来的に絵の具にアクセスするためにあったハードルをもう一度自分に課す加藤さんの作品は特に興味深かった。
少しだけお話しする機会があり不定形な支持体がレディーメイドなのかどうか気になって聞いてみたら、日用品を組み合わせたり、自分で作った形を樹脂で固め、樹脂が固まった後にそれを取り出したものを支持体にしているとのこと。
「あー、中空じゃないと壁にかからないですよね」みたいなことを私が言ったら「最低限のサービスとして壁にかけられるように(1cmくらいの隙間を指で作って)これくらいの幅は内部に持たせてますけどね」と言っていた。

元々フレスコ画は壁画の技法という認識だったので、加藤さんの「最低限のサービス」という言葉には、壁から切り離して流通可能になってる絵画の形式についての葛藤?みたいなものが含まれてるのかなあ・・・と勝手に憶測。
個人的にはもしもう少しお話しできていたら顔料の流通や採掘、入手方法について、調合以前の調達方法の話を聞きたかったのでした。
(絵の具へのハードルという意味では、調合の困難さの前に調達の困難さがあると、どうしても田舎出身者としては思ってしまうから)


鈴木雅明さんの絵も面白かった。
最初に観た時、ヴォルフガング・ティルマンスの丸めた色紙や、水の中に落としたインクを写したタイプの写真を連想した。
絵を観ているだけだと実際にそういう状況を作って描いたのか、それとも記憶や資料をもとに影のつき方などをシミュレーションして(私はこっちが多い)描いているのかわからなかったので尋ねてみました。
鈴木さんは前者で、机上で作った抽象的なモチーフを組んで、それをモデルに見ながら絵を描いているそうです。

昨年お子さんが生まれたそうで、日本画を描いている奥さんも苦労している・・・というような世間話などして、日本画・・・そりゃ大変そうだなあ・・・と思うとともに、どうやって制作環境を作っているのかお話聞いてみたいと思ったのでした。

総じて絵を見ながら、やっぱりペタペタ絵の具を塗る絵は、実際にその人の目の前で起きてることを描こうとしたのか、頭の中にあるものを描こうとしたのか、曖昧さが高いのがいいところよねー・・・みたいなことを思った。

アナログ画材(Ex.チューブ絵の具)とデジタル画材(Ex.Adobe製品)については、手元の端末からアプリで絵を描くことが普通にできることになっている現状、差がつきにくくなってるとは思うけど、それでもそこがいちばんの絵と写真との違いだなあ、、なんか、私の中では。


日時:8月24日~9月16日(月・祝)の金土日のみ
場所:なえぼのアートスタジオ


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